更新日:2026.11.04 / 小林(美)
ホテルライクはひとつじゃない。旅先での空間体験を、住まいの提案に生かす
こんにちは。
新潟で注文住宅・デザイン住宅を新築している「ディテールホーム」でインテリアコーディネーターをしている小林です。
前職でも住宅のインテリアコーディネートに携わっており、これまでの経験も生かしながら、お客様それぞれの好みや、暮らしに合わせた住まいづくりをお手伝いしています。
今回は、私自身が旅先で出会った印象的な空間と、そこから得た気づきを、日々の住まいづくりにどう生かしているかをご紹介します。
「ホテルライク」にも、いろいろな表情がある
お客様とのお打合せで、
「ホテルライクな雰囲気にしたい」
「カフェのような空間にしたい」
といったご希望をいただくことがあります。
ただ、同じホテルライクという言葉でも、思い描いているイメージは本当にさまざまです。
グレーやブラックを基調としたスタイリッシュな空間もあれば、木や石などの自然素材を取り入れた落ち着きのある空間、やわらかな照明とファブリックで温かみを感じる空間もあります。
Instagramなどで画像を探してみても、その表現の幅広さを感じます。
だからこそ、私はお客様の言葉だけでイメージを決めつけず、好きな写真や憧れている場所などを見せていただきながら、その方が求めている雰囲気を一緒に探していくことを大切にしています。
私が理想とするジャパンディに出会った場所
以前、京都を訪れた際に足を運んだ「HOTEL THE MITSUI KYOTO」。
特に印象に残っているのが、ホテルの回廊やロビーの空間です。

訪れたのは日が沈みかけた時間帯。
外にはまだ夕暮れの明るさが残り、木の温かみと足元のやわらかな光が調和する空間が、とても印象的でした。
ロビーに入った瞬間から気分が上がるような、落ち着いた上質感と特別感。
それでいて、ほのかで温かな華やかさもあります。
私はさまざまなインテリアテイストが好きなのですが、その中でも、ジャパンディと呼ばれるスタイルは、好きなもののひとつです。
こちらのホテルでは、まさに自分が理想とするジャパンディに出会えたような感覚でした。
分かりやすく和の装飾を取り入れているというよりも、素材の質感や細かなディテール、空間のつくり方など、さまざまな要素が重なって生まれる日本らしさなのかもしれません。
そして、初めて訪れた場所なのに、どこか懐かしさを感じるような親しみもありました。
スタッフの方々の動きや配置、お庭まで含めて、空間全体に心地よさが行き届いているように感じました。

夜になると、また違った表情を見せてくれます。
照明の光が木の柱や床に落ち、空間に美しい陰影が生まれます。
明るさを足して華やかにするのではなく、光を抑えることで生まれる落ち着きや奥行きもあるのだと、改めて感じました。
夕暮れの自然光が残る時間も、夜の照明が際立つ時間も、どちらも魅力的でした。
ホテルの心地よさを、住まいにどう取り入れる?
こうした空間を体験すると、
「自分が担当するお客様の住まいにも取り入れられないかな」
と考えます。
例えば、照明計画。
ホテルのように照明の明るさを抑え、光と影を楽しむ空間はとても魅力的です。
玄関や廊下などに取り入れられたら、日常の中にも少し特別な雰囲気が生まれそうです。
ただし、ホテルと住宅では空間の広さも、そこで過ごす人の行動も異なります。
ホテルでは、移動するためだけの場所であれば、比較的明るさを抑えた演出も成立します。
一方、住宅では小さなお子様がいたり、家族が毎日何度も行き来したりするため、安全性や使いやすさも欠かせません。
また、照明の陰影を美しく見せるためには、ある程度の空間的なゆとりも必要です。
そのため、ホテルで素敵だと感じたものをそのまま取り入れるのではなく、なぜ心地よく感じたのかを考え、それぞれの住まいや暮らし方に合う形に置き換えることが大切だと思っています。
雰囲気づくりと、日々の暮らしやすさを両立する照明
実際に私が担当したお住まいでも、廊下の照明を工夫した事例があります。

こちらは、廊下全体を明るく照らすのではなく、足元に光を取り入れた照明計画です。
空間の雰囲気づくりはもちろん、夜中に寝ぼけ眼でトイレに向かうときにも、まぶしすぎず、足元を確認できる快適な明るさを意識しています。
日中や普段の生活では気にならないようなことも、夜間には少しの光の違いで心地よさが変わることがあります。
ホテルで感じた照明の魅力を、そのまま再現するのではなく、住宅での過ごし方に合わせて取り入れる。
そんな視点も、インテリアコーディネートでは大切にしています。
自分の体験が、お客様への提案の引き出しになる
旅行先を決めたら、訪れるお店の公式サイトやInstagramを隅々まで見て、事前に情報を集めます。
現地では、気になった空間や印象に残ったディテールを写真に残します。
写真をたくさん撮るというよりも、後から見返したときに、その場所で感じた雰囲気を思い出せるように。
いつかお客様とのお打合せで、イメージを共有するための一枚になるかもしれないと思いながら撮影しています。

実際に訪れた場所をお客様もご存じだったり、同じ空間に憧れを持っていらっしゃったりすると、体験を交えながらお話しできることもあります。
また、自分の中にさまざまな空間の引き出しがあることで、お客様からいただいた画像を見たときにも、別の素材や色の組み合わせを想像しやすくなります。
「こんな組み合わせでもホテルライクになりますか?」
そんなご相談をいただいたときに、これまでの経験や知識、想像力を生かして、新しい可能性をご提案できたらと思っています。
好きなものを、もっと自由に楽しめる家づくりを
ホテルライクにも、ジャパンディにも、決まった正解があるわけではありません。
SNSや施工事例で見つけたイメージを参考にするのはもちろん素敵なことですが、そこに少し違う素材や色を組み合わせてもいいですし、自分たちらしいアレンジを加えてもいいと思います。
お客様が好奇心を持って伝えてくださるこだわりや、まだうまく言葉にできない好み、少し迷っていることも、できるだけ前向きに受け止めたいと思っています。
「こんな雰囲気が好き」
「こういう組み合わせはどうだろう?」
そんなお話から、思いがけない素敵な空間が生まれることもあるはずです。
これからも旅先でさまざまな空間に触れながら、自分自身の感性や引き出しを増やし、お客様それぞれの好きを住まいの形にするお手伝いをしていきたいと思います。
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